桜は、儚く散ってゆく。

登校中、由葵が不満げにつぶやく。
「せっかく、入学したのに、なんで散るかなぁ・・・。」

私達の通学路には桜の木ばかりある。


でも、一番大きいのは・・・

学校にある桜の木。

靴箱に行く途中に木を見上げると、
桜の花に混じって若草色の葉が顔をのぞかせている。

綺麗に見えるようで見えない。


桜の花びらが散って、散って・・・。
雨のように降っている。


綺麗・・・。


ずいぶんと見上げていた。

後ろを振り向いたら、由葵は居なくなっていた。

「あ、あれっ・・・?」

私は驚いた。
周りをきょろきょろを見渡しても居ない。
いつの間に居なくなったのかなぁ。

私は、涙ぐんできた。

ど、どうしよう・・・。


由葵・・・。