「俺は、辻村のことが、好きです」
「……っ、私も……っ、波岡くんがす、好きっ」
……ぐるんっ!!
「わっ……!」
伝えた瞬間、くるりと体の向きを変えられて……気がつけば、また波岡くんの腕の中。
だけど今度は、私の耳元で心臓の音が聞こえる。
それはそれは速い脈の音に、自分の鼓動も加速していくのがわかった。
「俺、嫌われてると思ってた……」
想像以上に安堵した声に、私のことが好きだということが見てとれた。
「私だってっ、もう好きじゃないんだと思ってた……!」
息をするたびに、波岡くんの優しい香りがする。
それが懐かしく思えて、涙が出そうだった。
「ごめん……」
私は意を決して、恐る恐る顔を上げた。
パチッと、すぐに噛み合う視線。
波岡くんのはとてもバツの悪そうな顔で、私を見つめてきた。
あぁ、この人の言っていることは本当なんだって、信じることができるくらいに。
そして……。
「辻村……」
「ん?」
「……俺ともう一回、付き合ってくれませんか」
じっと、目を見つめる。
その目に迷いはなくて、むしろその強い眼差しに戸惑う。
私の答えはただ1つだけど、だけど……。
「……信じて、いいの?」
「……今までのことは全部、好きだって証拠だから……。信じて、もう、傷つけない。」
自分を責めるような苦笑いをする波岡くん。
……ねえ、神様。
もう一度、彼を信じてもいいですか?
「……私を、彼女にしてください」
「……むしろ、俺を彼氏にしてよ」
Fin.

