春夏秋冬ー君と過ごした一年間ー

「…帰って」


僕が静かに呟くと、母さんは悲しそうに眉を下げてー…でもやっぱり笑って。


「桃、食べてね」


って言って、西野さんに袋を渡すと病室を出ていった。


西野さんも着替えを済ませると、「何かあったらナースコールしてね」と付け加えて、病室を出た。


しんと静まり返る病室。


一人の空間。


母さんが一人部屋にしてくれたんだ。


他の人たちと一緒じゃ落ち着かないでしょって。


一人部屋なんて高いのに。

母さんはきっと自分の欲しい鞄も服も、我慢してる。

毎日毎日同じ服を着て、病院を訪れる。


僕はどれほど母さんに我慢させているんだろう?