春夏秋冬ー君と過ごした一年間ー

それじゃノックの意味がないと思うんだけどー…


僕はそう思ったけど口には出さなかった。


ちらりと母さんの顔を横目で見る。


母さんは一瞬目を大きく見開かせて、僕から顔を反らした。


それもそのはず。


母さんの目の前には、今、点滴の管だらけになってベッドに横たわっている息子がいるんだから。


いつもそうだ。


母さんはお見舞いに来るといつもこういう顔をする。

そして僕はわざとそれに気づいていないふりをするんだ。


「今日はね、優の好きな桃を持ってきたのよ」


母さんはそう言って桃が入ったスーパーの袋を僕に見せ、力なく笑った。


母さんとしばらく他愛のないことを話していると、看護婦さんが失礼しますと中に入って来た。