「真島優(まじま ゆう)君の余命はー…もってあと10年です」


僕が10才の時。


病院のお医者さんから言われた言葉。


幼かった僕には、その言葉の意味が理解できなかった。


ただ、お母さんはその場で泣き崩れて、お父さんは苦虫を噛み殺したかのように顔を歪ませながらお母さんの肩を抱いていた。


だから、何か辛いことなんだ…ってことは、幼心に単純にわかった。だとしたら…


お母さんとお父さんをこんなにも苦しめる物は一体なんなんだろう。


お母さんは泣きながら、悲鳴にも似た金切り声で、僕の名前を何度も何度も呼ぶ。


僕が何かしちゃったのだろうか?それともどこか痛いのかな。


だったら僕が治してあげよう。


僕はお母さんの背中をさすりながら、


「どこか痛いの?痛いの痛いの飛んでけー」


って言った。


そしたら、お母さんはまた泣いた。


やっぱり僕が何かしちゃったのかな?


なんて。


いくら考えても考えても、答えは見つからず、僕はどうすることも出来ず立ち尽くしていた。