「あの……これ。

お願いします。」



俯いたまま、退部届を光先輩の胸に押し付けた。



「それじゃあ…。」
と言って、部室を出ようとしたそのとき……。











「待てよ。」






今まで聞いたことないくらいの、光先輩の低い声がして腕を捕まれた。







「……っ」



早く、離してほしい。


でないと、今すぐにでも泣き出してしまいそうだから。




「これ……
『退部届』って、なに…?」


「私……

陸部のマネージャーを辞めたいんです…。」





言った。

言っちゃった。




思ってもないのにね。