はぁ、とひとつため息をついて席を立つと、松田と春琉の席へと向かった。





しかし、春琉はすぐに席を立ち、またいつものように廊下のほうへと向かっていた。


「春琉!まっ…「水沢!」」



あたしが呼び止める声は、桜井によって遮られた。




そう、だよね…。


春琉の様子がおかしくなってから、一番心配してるのは桜井だ。


授業中もあいつが寝ないなんて、誰にでも平等なあいつが自ら女を呼び止めるなんて、相当だろう。







しかし空未は、一瞬だけ立ち止まると、走ってどこかへ行ってしまった。



「また…か…。」

松田がため息混じりの声で呟いた。


桜井はというと、廊下を気にしながら、クラスの女子に囲まれていた。









「ねっ、ねっ、
麗華ちゃん!」