私は、はっきりしていない意識でなんとかストップウォッチを押した。


(なに…今の…
スゴすぎる…!)



初めて見た走りに、動揺が隠せなかった。




私は桜井くんのもとへと駆け寄ると、

「すっごいね!!!!
桜井くん!!!


桜井くんの走りは…
どこまでも透明で、真っ直ぐだね。

微塵の迷いもないくらい。
真っ直ぐ、前だけ見つめてる、透明な風みたいな綺麗な走りだった…!」


と、思ったことを口にした。



すると、桜井くんは右手首を口にあて、顔を真っ赤にしていた。


(あれ…っ?)


「桜井くん…?
熱あるの?
顔、真っ赤だけど…」


大丈夫?と聞くと、



「なっ…
だ、大丈夫だから!!!」


とさらに顔を真っ赤にして走っていってしまった。







変な桜井くん…



―風
空未side * end