『200?年?月20日 静岡県某所』
紅葉の葉が落ちて夜中の風が身に凍みる頃、俺達三人は、この場所にいた。
季節柄、寒い夜空で雲一つ無く半分に欠けた月だけが僕達を照らしていた。

俺はそこで月の光に照らされがら輝く赤を見た
綺麗に思えて彼女の左腕に流れる赤い物を見つめていた。

僕が見たその腕には、一迷い無く切り裂かれた一本の筋が引かれその器を満たしていた赤い血がだらだらと流れていた。

人形が幸福と信じた一つの死の結末

俺はそれをみながらどうしていいのかわからずにそっと人形を抱き上げてつぶやいた。
「ごくろうさま」
俺の言葉を聞いた人形がコクンと頷く、人形のくせに笑顔がこぼれ始めている。冷たいはずの眼線の先が暖かい、まだ赤く膨らんだ唇が俺に何かを告げている。
「  」
俺には、その言葉が聞こえなかった、背後のほうからうるさいサイレンが鳴り響いていた。
「そんな音はやめてくれ静かにしてくれ」
俺は、言葉が聞きたくてその雑音に怒声をかけた。

どうしてこんなことになったのだろうか?
これを嘘に思いたいだけなのか?
俺は、きっと真実を見ていたくないから
もうすぐ僕達の【嘘つきの旅】が終わってしまいます。