「何でだ!」


玄関先で刑事を見送るなり、私を睨む。



遠ざかっていくパトカーに乗れば良かった。
この人の暴力は今に始まったことではなかった。


ドメスティックバイオレンス。
この言葉を本当に理解したのはもう10年以上も前になる。



自分の思うようにならなければ、当たり散らす。
計画通りに行動しなければ、ねちねちと責め立てる。



予定をしていた日にちに私が高熱を出していても、その日に買い物を予定していたら行かないわけにはいかないのだ。
そして、家事もほとんどやらない。
二人いる息子たちのおむつをかえたことすらないのだ。



結婚して共働きの頃には私の勤め先の近くに新居を構えたのだから、お前が家事をやれ。
産休で、休んでいる時には家に居るものが、家事をやれ。
子供が生まれたら仕事もしていないのだから、俺は家事はしない。

仕事を再開したら手伝ってやる。



結局、パートに出ても夫は食事を作ることすらなかった。
フルタイムになったらやってやる。
いざと、言うときになれば、俺はやる。
普段からやっていたのでは、意味がない。



全く、逃げの口実だった。
私には逃げ場所がなかった。


それを知っていて高飛車な態度をとっているのだ。