我を忘れて前に出ようとする三浦を。

「三浦!」

谷口が抱え込んで押さえる。

「冷静になれ、お前の今の立場は何だ?」

「っっっっ…」

荒く呼吸する三浦の体が、少しずつ熱気を失っていく。

「数多の技術と戦術を抱え、部下の命を守って任務を遂行するのが、分隊長のお前の役目だ、違うか?」

「…っっ…」

大きく息を吐き、目を閉じる三浦。

「有り難うございます、谷口さん」

「……」

三浦の被った88式鉄帽をポンと叩く谷口。

「十字隊形!敵の攻撃に対して速やかに部隊の火力を集中する!」

三浦が各員に指示を出した。