山の斜面を滑り降りながら、小川分隊はトンネルへと近づく。

トンネルの左右の壁に張り付き、まずは内部の様子を窺う。

「……」

谷口と三浦がアイコンタクトをとる。

誰かがいる気配は感じられない。

が、気配を殺して潜んでいる可能性がない訳ではない。

89式小銃を構える谷口、M4カービンのグリップを握り締める三浦。

緊張の糸を張り詰めさせて、二人はゆっくりとトンネル内に入っていく。