「大丈夫って、お前」

小暮が谷口の肩を摑む。

「祖国の人間と戦う事になっちまうぞ?」

「……」

谷口は何も答えない。

そう簡単に答えられる筈もない。

「谷口」

小川が谷口の顔を見た。

「お前は任務から外れろ。今ならまだ間に合う」

それは、小川のせめてもの気遣い。

生まれた国の人間と、どうして敵対して戦う事が出来るものか。

そんな辛い思いを、部下にさせる訳にはいかない。