一本の電線を渡り終え、向かいの建物の屋上で二人は安堵する。

しかし溜息には到底早い。

これから先、同じ事を何度も繰り返して進んでいくのだ。

弾薬は節約できるし、ゾンビとの戦闘を回避する事はできる。

だが電線の上でバランスを崩して落下すれば、地面に叩きつけられて転落死か、ゾンビの群れに群がれられて食い殺されるか。

どちらに転がっても、まともな死に様は晒せない。

「レンジャーの訓練でもここまでのペナルティはなかったけどな…」

呟くマット。

「俺も提案しておきながら後悔してる所だ」

三浦は苦笑いした。