ぶかぶかの学ランを開き、中をみる。
あ、ブラだけだった。
ちらりと島津先輩を見た。耳が赤くなっていた。
だがしかし、この恩人との関係も断ち切らなければならない。
「…先輩」
「おう?…ってちゃんと着るかどうかしろ!」
「…私と、絶交してください」
「…は?」
唖然とした顔でまゆを寄せる。
どういう事だと聞きたそうな顔だ。
「私は…死神と呼ばれています。その、私と関係があると貴方にまで被害が及ぶ可能性が…ですね、だから、私ともう…んむっ」
大きな手で口元を覆われた。
久しぶりに沢山喋って表情筋が痛む。
先輩は私に顔を近づけてニヤリと笑った
「やーだね
俺、アンタ気に入ったわ。な、俺の嫁になれよ」
「………ふぇ?」
思考停止思考停止。
危険信号が出ている。関係がなくなる以前に嫁なんだと。
あ り え な い 。
「んむ、ふ、んん」
「おっと悪ィ」
手を離してくれた。息を整えてから島津先輩を見上げた
「…私の話聞いてましたか」
「ああ、聞いてたぜ。大丈夫俺が幸せにする」
「いやっ、あの…(あれ、断る理由がない…)」
うん。
断る理由が…本当にないかもしれない。
人肌が苦手な私が、先輩の手に慣れたのだ。
…嘘だ、ろ。
私は先輩の手を取り自分の顔、胸、腹、足にぺたぺたとくっつけていった
…断る理由がない…
「お、おい…やけに積極的だなクソ…」
「どうしましょう…先輩…」
「あ?」
「断る理由が…見つかりません…」
先輩は目を張って私を見た。驚いた顔をしてからにんまり笑って私を抱き寄せた
「遠まわしにOKって事だろ?ま、まだ結婚は早いしな。付き合おうぜ!結婚を前提に!」
「で…でも、私は…」
「死神ってやつか?上等だ!実は俺もヤンチャしてっから四色の鬼って呼ばれてんだ。鬼と死神!結構じゃねぇか!」
島津先輩は大笑いして私をぎゅうぎゅう抱きしめた。初めて感じた暖かさをもっと感じたくて、先輩のワイシャツを少しだけ掴んだ。
「島津先輩…」
「名前で呼べ名前で。島津謙也だから」
「…謙也、先輩」
「先輩はいらん!俺も名前で呼ぶからな」
「…蒼、ですからね。」
「わかってらぁ」
久しぶりにくすりと笑った。
すると謙也さんは耳を真っ赤にして悶えた。何があったのか分からなくて謙也さんの顔を捕まえて「どうかしたんですか?」と聞いてやった
「アンタの笑顔、すっげぇ可愛い」
「…謙也、さんのほうが可愛い」
「男が可愛いっつわれても嬉しくねぇなあ
そうだ、俺の部屋、女用が一人あいてるから来いよ」
「え、いいんですか…?」
「おうっ!今から準備して放課後までには引越しおわるぞ!」
「…は、はい」

