「名前なんてどうでもいい。…私に構うな
どうせそのうち裏切るんだから…」
裏切るなら早くしてくれ…
そう弱々しく呟くお嬢に心が痛くなった。そこまで追い詰められているなんて。
俺は顔がいいらしく周りには人が居たし自分で言うのもなんだが人望はあった。
お嬢には人の暖かさがわからないんだな
俺は、…俺だけは、お嬢の味方だから。
「…お嬢」
自然と低くなった俺の声に動じずお嬢は俺に目を向けた。綺麗な碧眼だ
「…まだ何かあるのか」
「俺は絶対に裏切らないから。俺はお嬢の隣にいるから…自分を見失うな、お嬢」
「…八犬…
私に味方など必要ない。私は独りで生きていく。…八犬、お前の気持ちも嬉しいが、私は独りでいる。居なきゃいけないんだ」
俺は呆然とした。
初めて見たお嬢の涙目。お嬢は俺を拒絶しながらも自分をも拒絶した。
俺はお嬢の目に溜まった涙を掬いとった。
微笑んで、いや苦笑いだったかもしれない
「俺、ずっとお嬢の隣にいるから。頼ってくれると嬉しいけど、お嬢の事だから頼ってくれないだろうな。…俺はお譲と共にいるよ」
ホームルームはじまりの鐘が鳴る。

