しばらくしても血が止まらなかった。ティッシュで拭いていくが傷からは玉のような血があふれていた。
溜息をつくと教室のドアが開く音がした。次第に教室は黄色い声で溢れた。
彼は私と反対だ。
私が死神なら彼は神様だ。私は血を止めるのに飽きたので指先をティッシュでくるんで本を読み始めた。
『彼』side
俺が教室に入るなりメス…じゃなかった女達は甲高い声で出迎えた。きゃあきゃあと喚く中を一人だけ読書中の彼女の前の席に座った。
「おはようお嬢(じょう)!」
「…」
「おーい?あれ、指怪我してる…ちゃんと保健室に」
「…煩い」
凛とした小さな声が耳に届いた。
周りの女たちは聞こえてないらしく近いだのなんだのと文句垂れている。
「…手当、俺がしてもいい?」
「…必要のないことをするな…」
「お嬢は女でしょうが。もっと自分を大切に──」
指先に触れて手を持ち上げようとするとバッと手を引かれた。驚いてお嬢を見たら瞳孔が開いていた。触られるのがダメなのか…
「…悪かったよ。でも、後で手当しよう。な?」
「…必要ないと言っているんだ。分かれ駄犬」
「だ、駄犬って酷くね?俺はお嬢ってよんでんのに」

