涙を拭きながら、「ありがとう」と何度も言った。
「奏平もありがとね」
奏平に向かって言った。
奏平は柔らかく笑った。
「波瑠、あのさ」
少し迷いながら、奏平は話を切り出した。
「さっきの人たちなんだけど」
目を泳がせながら奏平は言った。
「あー。中学の同級生。」
「うん。それはなんとなくわかった。…じゃなくて。いいの?」
奏平にしては珍しく言葉が詰まってる。
「なにが?」
意味が分からないわたしは奏平に聞いた。
「このままでいいの?今のままだとずっと引きずっちゃいそうだし。波瑠が嫌なら気持ちよく終わりにしたほうがいいよ。」
奏平の言ってることは正しいような気がする。
でも、今更戻りたくないし。

