授業が終わると、即、希姫に呼び出された。

「優愛の隣、前の人だったじゃん!」

希姫は、興奮気味に訊いてきた。

あたしは、ニヤつきながら訊く希姫に、

「そうだね。てか、隣のクラスに茶髪の子いるみたいだよ?」

と、わざと言った。すると、希姫は顔を赤らめて、

『そんな事、大きい声で言わないでよ!隣のクラスに聞こえちゃうじゃんっ!』

と小声で言ってきた。

「はいはい、分かったよ。それよりさ、その茶髪の子の名前分かるの?」

「当ったり前じゃん!松本来夢っていうんだって!」

「へぇーそうなんだ」

あたしはやっぱり、その男子達に興味が湧く事はなかった。

「ていうか、優愛の隣の純平って子、どう!?」

「どうって・・・普通?」

 本当に普通としか言えなかった。でもなぜか、純平の真っ黒な瞳に吸い寄せられた。

「純平くんもカッコいいよねー!でもやっぱりあたしは、来夢だなぁ」

と希姫が呟く。

この話の後も他愛のない会話をしていると、2時限目のチャイムが鳴った。

「やばっ!早く教室入らないと!」

あたし達は慌てて、教室の中に入っていった。

 あたしは、昨日まで隣に誰もいなかったから、純平の姿があることで、違和感を感じた。

 授業が始まると、純平がためらいがちに、

「教科書、忘れたから見せてくれる?」

と訊いてきた。

 あたしは純平の真っ黒の瞳に見つめられて断ることが出来なかった。

あたしは、しぶしぶ机と机の間に教科書を置いて一緒に見た。

 「ありがとな、優愛!」

急に、優愛と言われて胸の鼓動が早くなるのを感じた。