あたしは、あの日以来恋をする事をやめた。
別に、男に悲しい思い出があるとか、そんなんじゃない。
ただ、男に呆れただけ。
今まで男を見てきて、男というのは、女に縋り付いて生きていく生き物としか思えていなかった。
君に逢うまでは。
高1の夏。
あたしはいつものように、親友の希姫とはしゃいでいた。
「やっぱ、夏は暑いねー。」
と、希姫がシャツで仰ぎながらつぶやいた。
「そうだねー。コンビニでも行って涼もうか?」
とあたしは訊いた。
「いいね!んじゃ、優愛行こ!」
「オッケー!アイスでも買う?」
希姫とは、保育園からの親友で、結構気が合う。
コンビニの前に着くと、即効ダッシュで希姫が店内に入っていった。
「ちょっ、早すぎ!」
あたしは、希姫の後を追いかけた。
すると、
ドン!
誰かとぶつかってしまった。
「優愛、大丈夫!?」
と希姫が心配そうに覗き込む。
「イタタ・・・うん、大丈夫だよ。」
と、ぶつけた鼻をさすりながら言った。
「あの、すんません。」
と声がした。振り向くと、背の高い男の人が二人立っていた。
一人は黒髪で真っ黒の瞳をしていた。もう一人は、茶髪で少しチャラそうにも見える。
「あ、大丈夫です。」
と答えた。
「なら良かった、じゃあね。」
と黒髪の人が答え、茶髪の人とコンビニから出て行った。
すると、希姫が
「ねぇ!茶髪の人カッコよくなかった!?」
と目を輝かせながら訊いてきた。
「ん~そうかなぁ?」
男に何も感情が湧かないあたしは、何とも思わなかった。
それを聞いた希姫は、
「カッコいいって!やばい、あたし一目惚れしたかも!」
と希姫は一人ではしゃいでいた。