私が好きだった宮本はこんな風に言う人だったっけ?
もっと優しい人だったはずなのに……。
もう何が何だか分からなくなった。
ただ分かってることは、私からの本命チョコはウケるって言われたことだけだ。
私は静かに宮本に背を向け、チョコを渡すことなく
『本命で悪いか、バカ』
と言って公園のごみ箱にそれをぶち込んで逃げるようにその場を後にした。
翌日から私は宮本と距離を置いた。
あんなことがあって、今までと同じように接する度胸なんて一ミリも持ち合わせていない。
向こうも私の態度に何か思うことがあったのか、私と関わらなくなっていた。
そして、宮本と一言も話すことなく中学を卒業した。
ホッとしたのもつかの間、同じ高校を受験していたことに気付いてしまったんだ。



