バレンタイン当日、放課後になると誰よりも先に教室を出て下駄箱に向かった。


家に帰り宮本に公園に来てもらうようにメールすると“分かった”という短い返事が返ってきた。

来てもらえることにひとまずホッとした。


こんな日に呼び出しなんて私が告白することがバレたかな?とは思ったけど、自分の気持ちは直接伝えたかったんだ。


チョコは昨日の夜に手作りした。
ピンクのリボンでラッピングした箱をバッグの中に入れて家を出た。



自転車で公園に向かったんだけど、テンパって待ち合わせ時間の二十分前についてしまった。


ベンチに座った瞬間に肌を刺すような冷たい風が吹きつけ目の前の落ち葉が宙に舞った。


「さむっ」


ポーチから鏡を取り出し手櫛で髪の毛を直しマフラーに顔を埋めようとした時、宮本の姿が見えた。


自転車をとめたのを確認し、緊張して震える足にぐっと力を入れ歩き出した。