二年越しのバレンタイン



静まり返った空き教室。
グラウンドから野球部がボールを打つ音が聞こえ始めた。

そうだ、部活に行かなきゃ……。

ハッと現実に戻され、手に持っていた箱をバッグの中にしまった。



おかしいな。
この教室から出て体育館に向かわないといけないって分かっているのに私の足は鉛のように重く、その場から動けない。



「いつまでぼーっとしてるつもり?」

不意に声をかけられ、弾かれたように教室のドア付近に視線を向けると麻耶が立っていた。


「麻耶……」

「ゆかり、生気を抜かれたような顔をしてる。宮本くんに告白でもされた?」

「えっ、どうしてそれを?」


麻耶はエスパーか何かだろうか?

「エスパーとかじゃないから。それに、今日はバレンタインデーだし宮本くんを見てればなんとなくね」

どうやら口に出ていたらしい言葉を否定された。