初恋の君に

その翌日、思いもよらないことが起きていた。

類君と類君のお父さんと類君のお母さんは、大きな荷物を持って車に乗っていた。
私は、類君の所に駆けつけた。
それに、気づいた類君が車の窓を開けてくれた。

『類君?どこいくの?』
私は、涙目で類君をみた。

『僕ね引越しするんだ。だから…咲ちゃんとはお別れなんだ!』
類君が、泣くのを我慢して明るく私に話していた。
それを聞いた私は、大泣きしてしまった。

『いやだよ…ヒック…行かないで。』
私は、類君の顔を見れなかった。

『咲ちゃんに、いい物あげる!大きくなったら、咲ちゃんを迎えにくるよ!』
類君は、ズボンのポケットから、可愛い、ウサギの指輪を出した。

『これ、お守り!咲ちゃんにあげる!』
類君の優しさで泣き止んだ。

『類君…じゃ私もお守りあげる!』
私は、ポケットからビー玉を取り出した。
類君は、何も言わず、ただ泣きながら微笑んでいた。

『そろそろ、出発する時間だ。』
類君のお父さんがシートベルトしなが言った。

『ぇぇ。咲ちゃん元気でね。』
類君のお母さんが、手を振った。

そして、ゆっくりと、窓が閉まり車が動き出す。

私は、類君から貰ったウサギの指輪を両手で握りしめ、道路にしゃがみこんで、ないてしまった。

その時だった…