学校が終わって、私は、何気に街中をブラブラと寄り道ついでにさまよっていた。

(前は、寄り道なんかしなかったけどね。
最近は
“さえちゃんいじめ”
も、ちょっとなくてつまんないから、知らない男の子とかと喋ったりしたくて、ちょっとだけ寄り道するのよね…。
ママがお仕事の遅い日なんかは特に。
家に帰ってもつまんないし。
ゲームも飽きたしね…。)


今日は、何だか人通りが少ない気がした。


「あっ!!」

さえちゃんがいた!

(あの人は、誰だろう?)

また、男の人と歩いていた。

中年の人。


夏休みの記憶がよみがえった。

親戚の人(?)と歩いていたさえちゃん。

…あの時の男の人と違うと思った。


確かな記憶ではないけど。

夏休みは、少しうつむいてこわばった顔で歩いていた記憶のさえちゃんの顔は、今日は、猫みたいな笑顔で男の人に話しかけている。


知らない。
知らない笑い方だった。


少なくとも、真美は見たことのないさえちゃんの笑顔だった。