さすがに動揺した。

彼女は、私の知っている
“さえちゃん”
ではなかった。

大人っぽいのか?
不良っぽいのか?

それから授業中、さえちゃんは脚をくんで、授業の勉強をしなくなった。

確かめたわけではないのだけれど、携帯のメールをさかんにやりとりしている所を目撃したので、そう思った。


少しよくわからない笑顔…

(いや!)

ニヤニヤしているさえちゃんを見て、私はゾクッとして、少し見て目をそむけた。

(ちょっと、最近のさえちゃんは怖い気がする…。)


クラスの皆も、新学期からさえちゃんを
『いじめる』
のにためらっている様子だった。


一週間くらいすると、真面目に登校していたさえちゃんは学校を休むようになった。

(あの細すぎる脚のせいなのかしら?
体調が良くないのかもしれない…。)

正直、少し心配になった。

(でも、私を
“ダシ”
に酷いことをしていた子なんだわ!)

でも、学校に来ている時は元気そう…に見えた。

誰とも話したりはしていなかったけど。