『世界創造』



人間だった頃の彼と全く変わらない。
だけど彼は正真正銘の神で、私は力を渡し、存在を渡し、虚無となって消滅する。
その筈だったのだが彼は私に存在を、名前を与えた。


彼はその時から私を『蒼』と呼ぶ。


彼は、今はもう崩れてしまった自分の愛した世界を直そうと、必死だった。


100年かけて欠片を拾い
100年かけて欠片を組み立て
100年かけて命を吹き込んだ


けれど、その世界には生命は生まれなかった。
一度壊れて粉々になってしまった世界なんて直るはずもない。


「○○○○○○○、無駄と言うやつだ。壊れてしまった世界は直らない」

すると彼は不機嫌そうに眉間に皺を寄せて言った。


「その名前はもう捨てた名前だよ、蒼。君は直らないって知ってて300年間黙ってた訳?」


「聞く耳持たなかったのはお前だ、現に聞いた所で諦めてない。」


呆れずにはいられなくて、私は深く溜め息をついた。
300年たっても彼は人間らしい。