微かに残る鈴ちゃんのつけていた
コロンの匂い。




「あー…どうしよ。」




ベットに座り込んだまま、頭を掻く。


昔と違うんだぞ。
ちっさいときの鈴ちゃんじゃないんだ。




『鈴ちゃん、俺の腕の中にスッポリ収まる』




って、何言ってだよバカ。


はぁ。鈴ちゃん、絶対怖がってたな…多分。




「あ、やべ。」



ふと、時計を見てゆっくりしていられないことに気づき、ササッと身支度を整えて1階へ降りた。





「おっそい!」



「悪い、うたた寝。」



「もう!行くよ!」



「はいはい。」




プンスカ怒りながら玄関を出ていくえみ。
その後ろについて出ていこうとする鈴ちゃん。
さっきから、俯いたままだ。




「あ、鈴ちゃん。」



「っ…?」




そんな警戒しないで。


俺はなんかちょっとショックな気分だった。
それでも、鈴ちゃんには嫌われなくない。
えみのように妹みたいなもんだし。




「さっきはごめんな。寝ぼけてた。
気にしないでな。」




俺が苦笑いしたのを見上げた鈴ちゃん。
何とも言えない顔をしてた。


でも、その後いつもの笑顔で頷くとえみの後を追っかけていった。




その笑顔にホッとして俺も玄関を出た。





(誠二sideおわり)