でも、大学を卒業して社会人になると少しずつ早紀は変わっていった…ように感じる。




俺と早紀は同じ会社に就職したわけで…
会社の中で会うことだってある。




さっきみたいに、社長秘書の早紀が俺のいる部署にくることだって。





「佑月さん、この書類なんですけど…」



「あ、うん。どこ?」




年下の後輩の女の子と仕事の話だって、
そりゃあ、する。



でも、その子がしばらくすると別の部署に移動になったりする。




「佑月くん、彼女いるの?」




「あぁ、はい。一応。」




なんて会話も何度かある。
でも、それから何かあるわけでもない。



ただ、その人は俺とあまり話さないようになった。



最初は気にもしなかったのに、ある日一緒に休みを過ごしていた早紀が、ベットの中で俺にくっつきながらこう言った。




「誠二、〇〇さん…誠二の事、狙ってるみたいなんだって。」



「〇〇さん?」



早紀が言うその人は俺の指導係をしてくれた女の先輩。


サバサバとして姉御のような人。


確かに俺を可愛がってはくれてるけど、そんな感じじゃないと思う。




「〇〇さんはただ俺を後輩として、可愛がってくれてるだけだよ。」



「ふぅん。ホントかな。」



「何で?」



「ううん。。…誠二?」



「ん?」



「誠二、愛してる。」




そう囁きながら、俺に微笑みかける早紀に
安心してしまっていた。



その数日後、先輩は系列の子会社へと異動が決まった。




それから、噂で聞いてしまった。
社長秘書の女王は、気に食わない女性社員を
潰していくらしいと。