「あの時は本当にごめんなさいっ!」



「えっ!」




席につくが早いか、早紀さんはそう謝って深く頭を下げた。



そんなの早紀さんの姿に、私はどうしていいか分からなくて慌てた。




「あの、あの、大丈夫です、早紀さんっ。
誠二くんからちゃんと早紀さんから伝言聞きましたから。」




そう。
誠二くんから、早紀さんが私をぶってしまった事を謝ってたって聞いた。



だから私はもう早紀さんに謝ってもらう必要なんてない。



それに私だってそれくらいの事を早紀さんにしてしまったんだもん。



拓さんにだって言われた。



『痛かったのはお前だけじゃないだろ。』



謝るのは、私も一緒だよ。




「私こそ…ちゃんと話さなきゃいけなかったんです。それなのに、ちゃんとハッキリしなかったから。」




そう言いながら早紀さんを見ると、驚いた顔をしていた。


そして、フッとひとつ笑みをこぼすと…




「鈴ちゃんて…」



「?」




早紀さんはクスッと笑うと、サンドイッチにかぶりついた。



そんな姿も綺麗で、思わずため息が出ちゃう。


でも、今なんて言おうとしたんだろう。




「ここの海老とアボカドのサンドイッチ、
美味しいわよねぇ。私、大好きなの。」



「あ、私も大好きなんですっ。」



「1つ食べる?」



「え、いいんですかっ!?」




お言葉に甘えて、早紀さんと二人で大好きなサンドイッチをパクついた。



何だかあの気まずかったのが、嘘みたいで。




「本当はね、もっと早く誠二と話さなきゃいけなかったの。ある意味、鈴ちゃんにいいキッカケをもらったというかさ。」



「そんな…」



「ううん、本当②。だってもう私と誠二、ほぼ終わってたようなものだもの。最初から恋人には向いてなかったのよ、私達。」




何でもないような、そんなあっさりとした口調でそう話してくれた早紀さん。



もしかしたら、私に気を遣ってそんな風に言ってくれてるのかもしれないけど…でも、その言葉を素直に受け取っておこうと思った。