「あの…塚本専務、ご用件というのは…」



「あ、用件は…」



ゴクッと喉がなるのが、自分でもわかった。


前に座るイケメンな専務は、俺に笑顔で…




「俺の家で飯でもどうかと思って。」



「は…?」



「あ、実は鈴ちゃんも一緒に
ご飯食べるんですよ。ね?」



「はいっ。」




予想外の呼び出しに覚悟を決めてきたはずが、




「ま、断らせないよ。…上司命令な。」



「はい。」




そんなカッコいい事言われたら、はいと自然に頷いてしまいますって。




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そんなこんなで、俺は塚本専務のお宅へお邪魔していた。



塚本専務の婚約者、瞳さんの手料理はすごく美味しかった。



それに塚本専務とラブラブで、俺と鈴ちゃんの方が恥ずかしくなるくらいだった。




「それで、佑月さんっ!」



「あ、はい。」




夕食の後、鈴ちゃんはノンアルコールの飲み物と大人達はワインやビールで話に花を咲かせていた。



すると、ワインでほろ酔い?気分な瞳さんは、
ズイッと俺の顔を覗き込むと…




「佑月さんは、鈴ちゃんの事どう思ってるんですかっ??」



「えっ、」




突然の爆弾質問に俺は慌てて、隣の鈴ちゃんを見ると…あれ?寝ちゃってる。



疲れたのか、鈴ちゃんは器用にソファーで体育座りのまま眠ってしまっていた。



とりあえず、ホッとする。


さすがに昨日の今日で鈴ちゃんとの話は、正直気まずい。




「私には痛いくらい分かるんですっ、鈴ちゃんの気持ち。私と孝幸の関係もそうだったから。





瞳さんはそう話すと、俺の隣で眠る鈴ちゃんを優しい眼差しで見つめた。



聞いた話では、瞳さんと塚本専務も小さい頃からの年の離れた幼なじみだったらしい。



本当に俺と鈴ちゃんの関係と全く同じだ。




「彼女がいる片想いの相手に優しくされるなんて、ホントに残酷なくらいツラいですよ。」





瞳さんの言葉が思い切り胸に突き刺さる。


だって、俺はずっと鈴ちゃんに…




「優しく傷つけないように返事をしようと思っているなら…それはひどいですよ。」



「え?」



「その返事に未来がないなら…私だったら、
早く伝えて欲しいと思います。だってっ…」



そこまで言った瞳さん。
でも、




「こーら。瞳、今日は飲み過ぎだ。」



「んー。。」



「ほら、お水飲んでおいで。」



「ふぁーい。」



ずっと黙ってビールを飲んでいた塚本専務が、優しく瞳さんの言葉を遮った。