「誠二くん、誠二くん、起きて。」



「ん~…誰?…鈴ちゃん?」




やっとうっすら目を開けた誠二くん。



寝ぼけたまま、何となく私が起こしに来たことに気づいてるかな?



私は思いきって誠二くんの顔スレスレにグッと近づくと…





「誠二くん…
起きないと、キス…しゃうよ?」




自分で思いきったくせに急に恥ずかしくなって居てもたってもいられなくなった私は、慌てて部屋を出た。



急いでドアを閉め、ドキドキの心臓を落ち着かせようと息を吐く。




うわぁ…言っちゃった。


大胆にもほどがあるよ、私ってば。



熱くなった顔をパタパタと手で扇いでいると、部屋でベットがきしむ音がしてまた、慌てて階段を下りた。




「私だってもう、子どもじゃないんだよっ。」




小さい声で呟いて、思う。



この前の仕返しだよ?誠二くん。



ちょっとは、ドキッてしたかな…?




「鈴、お兄ちゃん起きた?」



「う、うん。多分。今頃慌ててるよ。」




ふふ。慌ててくれてるといいな。
言い逃げしちゃったけどね。




「うちらもそろそろ出なきゃ遅刻だ~。」




えみと一緒に学校へと走り出した。


朝から何だか突っ走っちゃった気分。


でも、何かいい。


ちょっと前に進めた気がするから。