つぼみ、ほころぶ

「……どっこも怪我とはしてねえからっ……行ってくる」


その耳はまだ真っ赤だった。


真っ赤な理由は打ち付けたからじゃない。


暗闇でだって充分に分かった。


でも、何故なんだろう。


大人だって、乗り越えたって言ってた。


なのに、なんで……。


「ユウちゃん待ってっ!!」


分からないなら訊けばいい。


ユウちゃんの浴衣の裾を掴んで引き止めた。


「――なんで、あたしの冗談でそんなに赤くなるの?」


これでいい。どうせ、あたしは簡単なやつなんだから。