つぼみ、ほころぶ

「ああ～、良かった。虚勢張った甲斐あったな」


「……さっきから、あたしには分かんないことばっかなんだけど？」


「ええ～。言わないとダメかよ。そんな怒んなよ」


「当然っ。女将さんにも、あたしは全部了解済みだとか言っちゃってさっ。彼女演じるのとはまた別の話だっ！」


床に崩れたユウちゃんの頬をきつく抓ると、そこでやっと答える気になってくれたらしい。


その場で座りなおしたユウちゃんは、まずは大きく音を立て、その両手を顔の前で重ねて謝罪の意を表してきた。


「ふうーん……正座もせずに、そんな簡単な謝り方？」


「るせ。黙って聞いてろ。オレが話し終える頃には、チイはもう涙なしではいられないんだからな」


そうして始まったユウちゃんの懺悔は、まあ、それはそれでかわいそうで情けない内容だったけど、あたしを騙したこととは何の係わりもないことだった。