ユウちゃんが、あたしの眼前まで近寄ってくる。


「……っ」


固く握り締めた拳に触れられ、くすぐられるようにされると、途端に力が緩む。


されるがままになったあたしの手は優しく包まれ、そして、ユウちゃんの口元へ引き寄せられた。


その目は閉じられず、真っ直ぐにあたしを見据えたまま。


「ユウ……ちゃ、ん」


その唇が、あたしの手の甲に触れた。


「――こんなんじゃ、足りないんだ」


「っ!?」


その唇が、あたしの指先に、触れた。