そこはもう一軒家みたいな外観で、カラカラと完璧に手入れされた音のする引き戸を開けた奥には、幾つかの部屋が広がっていた。


薄暗いはずの室内は、あらかじめ電気をつけてくれてあって、肌寒さを感じさせないようにと、ちゃんと暖められてもあった。


「――どうぞ、こちらへ」


促された先の居間で、女将さんが美味しいお茶を淹れてくれる。


「あっ、ありがとうございます」


「改めまして。ようこそお越し下さいました」


緊張するあたしをよそに、ユウちゃんはまた女将さんと雑談まじりに部屋の説明とかを話し始めた。


「――大丈夫です。部屋は以前と違いますが、基本は変わらないでしょう?」


「左様でございます。――ですが」


女将さんがあたしの顔を見て気遣ってくれる。


「そのような仰い方では、お連れ様が不安になられてしまいますよ。以前と、だなんていけませんわ」