つぼみ、ほころぶ

お姉さんが華麗に広げていくメイクボックスに密かに目を奪われながら、ささやかな抵抗をする。


「そうだけど、これ以上首を境に上と下を異次元にしたくないよー」


けど、柔らかな押しのカズくんにお姉さんが援護射撃を加えてきて、あたしはあっという間に畳み掛けられそうになる。


「異次元には、ならないと思いますよ」


サービストークにもほどがあると思っていると、お姉さんはあたしのほうを見ておらず、ある方向を指差して大丈夫だと頷いた。


「髪型にも、もちろん洋服にも似合うメイクをしましょうね――でも、まずは着替えからかな」


お姉さんが指差した先は個室の出入り口で、そのドアは透明なガラスで、カズくんもそっちを見て苦笑してて。


「メイクの後に着替えじゃ、せっかくのプレゼントが汚れちゃうといけないですから」


ドアの向こう側には、素敵ワンピースをこれ見よがしに掲げたユウちゃんがいた。