「葛城が描いたスケッチを見れば、コイツがどれだけ吉野さんに惚れ込んでるかわかりますよ。オレからもぜひ頼みます!考えてもらえませんか?」

と言って、頭を下げた。

「・・・ごめん。ちょっと考えさせてもらえるかな?私も急に言われても困るし・・・。」

私は正直、とまどっていた。

こんなに一生懸命に頼まれたら、即イヤですなんて言えないよ。

「・・・悪いけど、志麻は貸さない。」

やっと口を開いた貴史は、こんなとんでもないことを言ったので、私は慌ててしまった。

「ちょっと何を言いだすのよ?!」

「いやなものはいやなんだよ。」

「だからって・・・。」

「・・・オレは吉野さんに頼んだんです。だから、あなたがいくら言おうと、聞くつもりはありません。オレ、あきらめませんから。」

葛城くんもケンカ越しになってきたので、佐倉くんが慌てて仲裁に入った。

「へっえ。いい度胸じゃん。じゃあ勝手にすれば?」

そう言って席を立って行ってしまう貴史を、私は急いで追い掛けた。

「貴史!ねぇ待ってよ、ねぇ!」

貴史は長い足でスタスタと足早にどんどん行ってしまう。

「貴史!!」