シャッフル

「しょうがないじゃないか。まだガキだったんだし……」

 馬鹿にされた気分で恥ずかしくてふて腐れて言うと、そんな俺を見てまた彼女がクスクス笑う。

「ごめんなさい。変な意味じゃないの。癒されるって言いたかったの。それにこの楽譜の仔犬のワルツは私が初めて弾いた曲だから……なんて言うか勇気が湧いてくるっていうか……」

 ハニカミながらそう言う彼女。

 凄く遠い人だと思っていたのに……。

 彼女は俺の想いを大事にして側に置いててくれたのか……。

 そう思うと、ギュウっと胸を締め付けた。

 彼女は楽譜を封筒に仕舞うと鞄を持ち椅子から立ち上がった。

「もう行かなくちゃ。じゃあ、鈴木君元気でね。またコンサートに来てね」


「え?」

 彼女は小さく手を振ると振り返って歩きだした。