シャッフル

「大事に持っててくれてたんだ……」

 懐かしい楽譜に目を向ける。

 あの頃の気持ちを思い出す――。

 汚い文字……。でも一生懸命だったあの頃……。

 懐かしい……そして大事な楽譜……。

「ありがとう紗代里。大事にしてくれて」

「ううん……。あ、ねぇ、コーヒー飲みましょう。冷めちゃうわ」

 紗代里は何かから逃げる様に話題を変えた。

「え?ああ……そうだな」

 椅子に座ると紗代里が入れてくれたコーヒーを飲んだ。