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「それ以来ノッポとは話さず仕舞いで、暫くすると彼女はまた何処かに転校していったんだ」

 紗代里はただじっと俺の話を聞いていた。

「だから名前も知らないし、正直顔も殆ど覚えてないんだ」

「……そう……なんだ」

 紗代里はビーズに目を向け呟く様に言う。

「でもなんで携帯に?ずっと大事に持ち歩いてたの?」

「ハハ。まさか。一人暮らしで家を出る際に、部屋を片付けてたら出てきたんだ。自分でも何処にしまったのか忘れててさ。暫くは引き出しに仕舞ってたんだけど、金目当てで近づいてくる女にうんざりして、女除けとして1年程前から付けてるんだ」

「女除けって……」

「結構効果あるんだ。彼女持ちに見られて」

 そう笑いながら言うと、コーヒーを一口飲んだ。