「じゃあ……私もその楽譜ちょーだい」

「え?これ?」

 右手に持っていった楽譜に目を向ける。

「私のビーズは燃やされなかったのに、君の楽譜は燃やされるなんて楽譜が可哀想でしょ?」

 泣いて赤くなった目と鼻の顔で笑うノッポ。

「お前ピアノ弾けんの?」

「弾けないよ。でも要らないんならちょーだい」

 そう言うと、ノッポは俺に左手を伸ばした。

「変なやつ……」

 そう少し笑って言うとノッポは楽譜を、俺はビーズを受け取った。

 嬉しかった……。

 何が?と聞かれるとわからないけど……。


 多分……必死に練習してペンで汚れた楽譜に夢を乗せた俺の想いが、燃えて消えるんじゃなくて形のまま残る事が……嬉しかったんだ――――――――
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――……