シャッフル

「南大寺茜か」

 ーー!?

 おもむろに祖父を睨み付けながら振り返った。

「職業はピアニスト。事故に遭うまでフランス在住。現在は市内在住の27歳。両親は他界。親族兄弟なし。今はお前の専属ピアニストをしながら復帰を目指しているな」

「……調べたのか?」

 ギリッと奥歯を噛み締める。不敵の笑みを浮かべて刺すような視線を送ってくる祖父に殺意さえも沸いてくる。

「ピアニストなど未来の社長夫人にはなれん。やめておけ」

「彼女とはそんな関係じゃない!」

「ならお見合いを断る理由はないな」

 怒りで頭が痛くなりそうだ。握り締めた拳が直ぐにでも祖父にめがけて行きそうだ。

 彼女とは確かにそんな関係ではない。でも、俺にとってどれだけ必要か、どれだけ安心できる存在か、そんなの俺にしかわからないだろう。

 いつも否定ばかりだ。俺の気持ちも、想いも全て無視して全否定ばかりするこの祖父に、何を話したらいい。何をしたら認めてくれる。

 努力してきたつもりだ。自分なりに。でも、もう限界なのかもしれない。破裂しそうだ。

 心が。

 痛いーー苦しいーー……。

 もうーーやめてくれ……俺から大事なものを奪うのは!

「あんたに……あんたなんかにーー!!何がわかる!!!」