シャッフル

「松田財閥のご令嬢だ。松田記念病院の医師でもある。歳もお前と近い。いいお見合い相手だろ?」

 俺の言葉などフル無視で威圧的な話し方。

 心底イラつかせる存在だ。

「さっきも言いましたが、お見合いはしません」

「お前の写真を見せたら、ご令嬢は随分気に入ってくれたそうだ。趣味は山登り。お前にピッタリだな」

「俺の趣味は山登りじゃありませんし、お見合いは絶対しません」

「見合いは来月の第2土曜日だ。市内の高級ホテルの予定だからスケジュールを空けておきなさい」

 苛立ちが押さえられない。握りしめる手はワナワナと震えだしている。

「勝手に話を進めるの辞めてもらえませんか?それとも耳が遠くなりましたか?俺の話が理解できないのでしたら、失礼させていただきます」

 そう言うと、向きを変えて部屋を出ようとドアノブに手をかけた。