シャッフル

 結局泣いていた理由も聞かないまま、他愛ない会話をして時間を過ごした。

「じゃあ……そろそろ俺帰るよ」

「うん。お花ありがとうね」

 終始笑顔の彼女――。

 病室を出ると廊下を歩きながら思う。

 俺は卑怯なヤツだって――。


 本当は――怖かったんだ。

 彼女の痛みを知るのが怖かった。

 本当の気持ちを知るのが――怖かった。

 ピアノはもう無理だって……彼女の口から聞くのが……怖かった……。