シャッフル

 泣いている姿を見られた事に気づいている筈なのに……。

 どんなに涙を拭って笑っても、今だって瞳が赤く潤んでいるのに……。

 なんで笑うの――。

 どうして――強がるの……。

 サイドテーブルに持ってきた花籠を置くと彼女は笑いながら「綺麗ー」と言った。

「退院……決まったんだってね。おめでとう……」

「ありがとうー。手首のギブスはあと2週間着けてないとダメみたいなんだけどね。腰はもう大丈夫みたい」

「そっか……」

 彼女を直視出来ない。

 聞けばいいのに――。

 なんで泣いてたの?って……。

 簡単な事なのに聞けないのは、きっと彼女が笑ったから……。

 知られたくないんだって……思ったから……。