シャッフル

 紗代里は慌てて執刀医に近づく。

「指――!指はまた動くんですよね!?彼女ピアニストなんです!前と同じ様にまたピアノ弾けますよね!?」

 悲痛な顔をした紗代里に、渋い顔をする医師。

「何とも言えない。手術は成功してる。後は彼女の頑張り次第だね……」

「そんな……」

 その言葉に俺も紗代里もただ茫然とする事しか出来なかった。

 嫌な予感が頭を過る……。

 もしこのまま指が思うように動かなかったら、ピアニストとしての彼女の人生は――。




 どうなるンダ……。




 グラッと目眩を起こしそうになり、思わず片手を額に当てる。

 ドクン――ドクン――と鈍い痛みが胸を打つ。

 駄目だ……。

 考えたら駄目だ……。

 今は少しでも早く彼女の回復を願おう――。