まーが生きた証。


『真樹くん、真樹くん!

ノート書かないん?』


そう一言、
なるべく明るく話しかけてみた。


すると真樹くんはむくりと顔を上げ
あたしの方を見た。

「………ん?」

そう言った真樹くんは
本当に眠そうな顔だった。

一瞬、
起こしたらまずかったかな。
と思ったけど今日は絶対話すと決めていたあたしは引き下がらない。


『あの問題やらないん?』

と、勇気を出して言ってみた。
返ってきたのは…

「あぁ…わかんねぇし
めんどくせぇからやらねぇ。」


やっぱり!という言葉が喉まで出かかった。

でもそれを寸止めしてにっこり笑った

『一緒にやろ?』

そう言ってみた。

すると彼は少し驚いた顔をして
すぐにキョトンとした顔をした。

そこであたしはすぐに

『あぁー…ほら!
ほっといたらどんどん出来なくなっちゃうし!』

だから一緒に、やってみよ?

なーんて言ってみた。

そしたら真樹くんは
一瞬わけがわからないような顔をしたけれど、

「ん。」

と、一言そう言って
シャーペンを手にした。

この時あたしは
そこそこ勉強も分かっていた方だった。

だから
教える事ができると考えついた結果
これで話ができるという答えに辿り着いた。


教えていると分かった事。

多分…

真樹くんはとんでもないほど
勉強が苦手だ。


基礎すら理解できていなかった。

でもそのおかげで
会話する時間が延びたので
良かったのかもしれない。

やっとの事で1問解くことができた。


でも喜んでいるのは
あたしだけだったみたいで、

1人喜んでいるあたしを
じっと見て真樹くんが一言。

「お前って…
頭いんだな。」

そしてまた胸が躍る、

本当にこれ、一体なんなんだろ…