「高橋くん、って知ってますか」


それからのこと、私は毎日のように彼を探し回った。


ただでさえ6クラスあるうちの学校で、しかも高橋なんてよくある苗字の人がすぐに見つかる訳などなく。

「……諦めようかな」

ぼそり、そう呟いたその時。

目の前に、青い髪の毛が揺れた。
はっと、息を呑む。

ガタ、と大袈裟な音を立て椅子から飛び上がり、急いで彼を追いかける。

はやく行かなきゃ、すぐにまた見失ってしまう。
走るスピードはどんどん速くなる。

そこであることに気付く。
私、高橋くんとなにか話したことあったっけ?
高橋くんは私のことを知ってるの?接点は?
疑問だらけの頭を抱え、足は重くなり、ついに止まってしまった。

彼はまた、私の前から消えてった。