「さぁ、彼女を殺して」

遠い所で声が聞こえた。
黒い塊が歩いてくる。
私は、リノヴァに殺されるんだ。
簡単に、無かったみたいに、消されるんじゃなくて。
愛するリノヴァに殺される……。

鋭い爪が喉にあたる。
大きな手のひらが、喉を覆う。


最初からちゃんと消えていたら


圧迫される。
変な音が口から出る。


憎んだりせず受け入れていたら


頭が熱い。
目が飛び出しそうだ。


こんな絶望
味わうこと無かったのかな


見開いた目がリノヴァを映す。
リノヴァの顔が近づいてくる。

「―――――」

何かを言った。
分からない。
もう何も知りたくない。
じわじわと視界が黒く染まる。
どこかでビキンっと音が鳴る。
自分という存在が小さく、遠くなる。


あぁ、もう消えてもいいやぁ


白い電流が流れた。

















プツンッ